■恒例の年末年始企画堂々発表! |
●ジャケット写真orタイトルのリンクをクリックすると、Amazon.co.jpで購入や、該当ディスクの部分試聴が可能です(試聴は輸入盤のみ)。 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集 ( >>輸入盤 ) ピエール=ローラン・エマール(p)、ニコラウス・アーノンクール指揮ヨーロッパ室内管弦楽団 [Teldec] |
◎恒例、この一年間に発売されたディスクから選ぶマイ・ディスク、例年のようにその辺に積みあがってるディスクから選んでみようとして、気づく。2003年って、なんかベートーヴェン・イヤーっぽい、CD的には。だってスゴいっすよ、本年のベートーヴェンは。
◎で、まずはエマールのピアノ、アーノンクール指揮のベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集。まるでピアノ付きの交響曲みたいな気がするのはなぜなんだろう。ディテールまでコントロールされた究極の「作り物の美学」に圧倒されてしまう。完成度最強、ここに欠けるものがあるとすれば「熱狂」だけだ。 ◎その逆に完成度は極めて低いが、熱狂がすべてを支配してしまうのがカルロス・クライバーの「田園」ライヴ。もうこれ、ヒストリカル・レコーディングに分類されるべきだよなあ。もはやクライバーがもたらすのは驚愕ではなく、懐旧である。 ◎さらにベートーヴェン、アファナシエフのピアノ協奏曲第5番「皇帝」他。エマール&アーノンクール組が現代ベートーヴェン像の王道を目指すのなら、この人のやってるのはなんだ、だれも行かない脇道なのか、理解されない孤高の天才なのか。怪異である。しかしピアノは特撮巨大ロボのごとく逞しく雄弁で、暖かくふくよかなモーツァルテウムの響きと異様なコントラストを生んでいる。地獄の一本道にお一人様ご案内です、ふふ(←ジャケに勝手にアテレコしてみた)。 ◎本当の歴史的録音としてはクレンペラー/ベルリン・フィルのベートーヴェン「田園」リハーサル付きってのもあった(1964年)。これはやっぱりリハーサルがおもしろいんすね。全部ドイツ語だが大丈夫、輸入盤解説書に詳細が簡単な英語で説明されている。 ◎ほかにもベートーヴェンはラトル/ウィーン・フィルの交響曲全集、同じくラトルとベルリン・フィルの「フィデリオ」、ノリントン/シュトゥットガルト放送響の交響曲全集(←まだちょっとしか聴いてないけど最高!)もあって、さらに旧譜再発売では英SONYがマゼール/クリーヴランド管弦楽団の交響曲全集を出してくれたのも、猛烈に嬉しかったんである。 ◎と、ここまでベートーヴェンづくしだったわけだが、それだけだと寂しいのであと2点。 ◎LDからDVD化された「名指揮者の軌跡Vol.1 カルロス・クライバー」。リハーサルの様子が収録されていて、若き日の魔術師に目が釘付け。 ◎新録音からも一つ。五嶋みどりのブルッフ&メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。めったに聴かないような名曲すぎる名曲を正攻法で。おお、豊潤なりロマンティシズム、そしてワタシは改めて知った。すなわち、「いわゆる名曲に駄曲なし」(←あたりまえだよっ!)。 (01/02/2004)
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