■恒例の年末年始企画堂々発表!

  My Disc of the Year 2000
  ●ジャケット写真orタイトルのリンクをクリックすると、オンラインショップAmazon.co.jpで購入や、該当ディスクの部分試聴が可能です(試聴は輸入盤のみ)。

ブラームス:交響曲第3番、第4番

ダニエル・ハーディング指揮ドイツ・カンマー・フィルハーモニー・ブレーメン [Virgin]


バッハ:ピアノ協奏曲第1、2、4番
( >>輸入盤 )
マレイ・ペライア(p)指揮ASMF [SONY]


R・シュトラウス:管楽器のための協奏曲集
( >>輸入盤 )
ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団 [Teldec]


メシアン:トゥランガリラ交響曲
( >>輸入盤 )
ケント・ナガノ指揮ベルリン・フィル[Teldec]


ミヨー:四季(4つのコンチェルティーノ)

ミヨー指揮、ラムルー管弦楽団のソリスト、シモン・ゴールドベルグ(vn)他 [Philips]


ショパン:夜想曲選集

クラウディオ・アラウ(p) [Philips]


ハンガリー狂詩曲第2番〜華麗なるフィラデルフィア・サウンド

ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 [RCA]





 光陰矢のごとし、秒速1秒の猛スピードで過ぎ去るこの一年、「クラシックの新譜の枚数が減った」なんて嘆きも耳にするが、振り返れば一年間にリリースされるCDの量は膨大、聴きたいものがなくて困るなんてことは全然なし。つうか、過去の優れた録音がどんどん廉価化、BOX化して出てくるって傾向こそ影響圧倒的に大、気がつけばビバ過去な自分、心地よい遡及感に現在のミュージック・シーン(笑)のことなんか忘れてしまいそうだ!
 で、そんななかから新録音中、「印象の強さ」or「聴いた回数の多さ」で選んだのが左の上から4枚。来日公演が話題になった(かもしれない)ダニエル・ハーディングのブラームスは「印象の強さ」のほう。新しいんだけど、ただ新奇なだけじゃなくて、生命力みなぎる音楽で圧倒的な満足感を与えてくれる稀な一枚、若さと成熟度に相関関係なしの早熟ぶり、意外と巨匠の風格だって漂ってたりする。できのよすぎるガキのようで、とにかくかわいげがない。ジェラシーが全宇宙から猛然と襲い掛かってきている模様、というのは毒電波の教えてくれる妄想。ああ、うざったそうだよ、若き天才ってヤツぁ!
 ケント・ナガノのメシアンもすごかった。ワタシはメシアンの濃厚さに萎えがちで、「トゥランガリラ交響曲」というと積極的に苦手な曲と断言できるんだけど、なのに夢中になって聴いてしまったのは指揮者とベルリン・フィルのおかげ。
 「聴いた回数の多さ」だとペライアによるバッハのピアノ協奏曲、それとバレンボイム指揮のR・シュトラウス「管楽器のための協奏曲集」。モダン・ピアノによるバッハ演奏でほとんど唯一新譜が待ち遠しいピアニストがペライア。去年のゴルトベルク変奏曲以上に吉。後者のR・シュトラウスは協奏曲のソロ奏者がすばらしいとかいう理由ではなくて、適度な稀薄さが気持ちいいから。こういう収録曲は定期的に無性に新録音を聴きたくなる。ダラダラっと聴いて、ハッピー。賞とか獲るようなディスクじゃ絶対にないっす。
 あとは再発売もので、こっちのほうが選びきれないくらいにあるので、適当に記憶にある順で。作曲者の指揮によるミヨーの「四季(4つのコンチェルティーノ)」。洒脱なだけ、快楽しかない。そこがいい。DISC WOW! のところにも書いたアラウのショパン。カッコよさで最強。最後にオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のシリーズから「ハンガリー狂詩曲第2番〜華麗なるフィラデルフィア・サウンド」。昔からおなじみのポピュラー名曲の名演が並んでいて、頭のなかを洗濯してくれるくらい、気持ちいい。こういうレパートリーならこの録音くらい愛されている演奏はない。エネスコのルーマニア狂詩曲第1番とか、バカすぎて聴けないなんて人がいるかもしれないけど、この突き抜けかげんを楽しまないのは不幸だ。
 ほかにもいろいろとあったような気がするけど、例年のごとくその辺に転がってる一年以内に発売されたと思われるディスクから、さくっとお気楽に選んでみるとこんな感じ。ヴァントとかアーノンクールとか、思いっきり聴き逃していたりする。個人的に好きで聴くもののベストってのはそんなもんだ。ひとがどんな録音を待ち望んでいるかってことくらい、予想のつかないものはない。
来年も聴くしか。よい一年でありますように。
(12/19/01)





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